AIイラストにおいて、キャラクターのポーズは重要な要素になっていて、特に「手のポーズ・動き」は作品の印象を左右する部分です。本記事では、手の位置や動きに関するプロンプトや、具体的な画像生成事例について紹介していきたいと思います。
本記事ではChatGPT (DALL-E)でAIイラストを生成しています。やり方や概要については、下記記事でまとめていますので、こちらもご覧ください。
AIイラストの手の表現の難しさ
AIイラストでの手の再現性については、画像生成AIが出始めた当初に比べると自然な手や指が生成されるようになっています。例えば、下記画像は比較的複雑な「両手でのOKサイン(プロンプト:making an OK sign)」になりますが、明確な破綻がなく、指の形状や本数が自然に生成されています。
しかし、依然として、特に複雑な状態やプロンプトとの組み合わせのときには、指の本数や形などが不自然になることがありますし、プロンプト通りにならない場合があります。以下、どういうときに上手くいかないかも合わせて説明したいと思います。
基本的な手の位置に関するプロンプト
まずは基本的な手の位置関係についてまとめたポーズと、プロンプトや具体例について紹介していきます。位置としては、前や後ろ、横に手を添えたような状態になります。
- 手を後ろに組む / プロンプト “Hands behind”, “arms behind back”: キャラクターが手を後ろに組んでいる姿。控えめな感じを出すのに効果的です。
- 手を前に出す / プロンプト “Hands forward”: 手を前に差し出す姿。歓迎するような場面で使えます。
- 手を広げる/ プロンプト “Spread hands”: 手を広げるような姿。上と同じように歓迎する場面や、不思議がるポーズなんかに使えます。
- 手を前で組む/ プロンプト “Clasp hands in front of”: 恥ずかしがっているような場面、緊張感を出すような意図で使えるかと思います。
- 手を腰に当てる / プロンプト “Hands on hips”: 手を腰に当てる姿勢。自信満々な感じにしたい場合に有効です。
- 腕を組む / プロンプト “Arm crossed”, “Folding arms”: 腕を組んでいるポーズ。肘を持たせたい場合はfolding armsの方が良いです。
以下で、それぞれのプロンプトを用いた生成事例について詳細を紹介していきたいと思います。
手を後ろに組む
キャラクターが両手を体の後ろで組んでいる姿で、プロンプトはwith her arms behind her backとしたもの。これは上手く画像生成できた事例です。
ただこのポーズについては再現性が高いわけではなく、失敗することもそれなりにあります。下図のように、手が後ろにならずに、前にくる場合がある感じ場合がたまに起こります。特に、プロンプトに「手を組む(clasp)」を入れてしまうと、前に来やすい印象があります。
手を前に出す
両手を前に出して、ようこそのポーズをしているような画像になっています。これはwith both hands extended forwardをプロンプトとして用いています。
手を広げる
これはspreading her hands wide apartとしたものです。上と似たようなテイストになるかと思っていますが、肩をすくめるような感じになる場合もあります。
手を前で組む
体の前で手を組んでいるポーズのイラストが生成できています。これはwith her hands clasped together in front of herをプロンプトに入れています。
手を腰に当てる
両手を腰に当てているポーズしたもの。プロンプトはwith both hands on her hipsです。
一方で、こちらは片手を腰に当てているポーズ。プロンプトはwith one hand on her hipです。片手にするか両手にするかでも、与える印象は異なるかと思います。
腕を組む
プロンプトとしてarms crossedとして作成した例。このような感じの腕組みの画像が出来ます。
以下は、folding armsとしたもの。この場合は肘を抱えるようなキャラクターが生成されやすく、上記とはまた違った印象になるかと思います。
手の動きに関するプロント
続いて、手の動作が伴うようなポーズと、そのプロンプトについて紹介していきます。
- ピースサインをする / プロンプト “Make peace sign”: ピースサインをしている動作で、写真撮影のイメージとかになるかと思います。
- 手を振る / プロンプト “Wave hand”: 手を振る動作は、あいさつのシーンや別れのシーンで使えますね。
- 手で顔を隠す / プロンプト “Cover face with hands”: 顔を隠すような仕草で、恥ずかしさを強調できて有用です。
- 手で目を隠す / プロンプト “using her arm horizontally to fully cover her eyes” : 上と同じく、目の部分を隠して恥ずかしさを表現させます。
- 手をポケットに入れる / プロンプト “Hands in pockets”: 手をポケットに入れる動作は、フランクな雰囲気を出せそうです。
- 手を上げる / プロンプト “Raise hand”: 手を挙げる動作は、呼びかけたりするシーンに適しています。
これらについても、以下で実際に生成した画像について示していきます。
ピースサインをする
下記画像はオーソドックスな片手でピースしている画像で、making a peace signを使用しています。
一方で、下記は両手で横ピースとしたものです。ここまですると動きの大きさを感じるのと、キャラクターの個性は表現しやすいかもしれませんね。
手を振る
下記は片手を振っている画像で、with one hand raised and wavingで生成しています。
こちらは両手を振っているとしたもの。with both hands raised and wavingを使っています。
手で顔を隠す
covering her entire face with both handsとしたものです。手で顔を覆おうとしていることは分かるものの、実際には完全に覆えてはいません。この女の子の場合には「青い目」がプロンプトとして別に含まれるため、完全に顔を隠すようなポーズとするのは難しめです。「entire」を入れておくと、覆う面積が大きくなる傾向があります。
手で目を隠す
下記はusing her arm horizontally to fully cover her eyesとしたものです。こちらも完全には覆えていませんが、近いポーズにすることは可能です。using her arm horizontallyを入れると生成確率が高まります。
手をポケットに入れる
両手をポケットに入れたポーズとした画像で、プロンプトはwith her hands placed in her pocketsとしています。この例では、片手だけ入れたポーズとするのが困難でした。
手を挙げる
片手を上げて、呼び止めたり、あいさつするようなポーズをしている画像となっています。プロンプトはwith one hand raisedを用いています。
手の特定の動作に関するプロンプト
続いて、より応用的な事例を紹介していきます。こちらは、先程よりも使用場面は限定的となるような特定の手の動作についてまとめています。
- 手で物を持つ / プロンプト “Hold an object”: 物を持たせることで、キャラクターの状況説明に使えます。
- 手で何かを指す / プロンプト “Point at something”: 手で指したりすることで、何かに気付いた様子を示す場合に。
- 手を後ろにつく / プロンプト “Place hands behind”: 手を後ろに置いて座る姿勢は、リラックスしたシーンで有用です。
- 手で頭をかく / プロンプト “Scratch head”: 頭をかく仕草は、困惑や考え事をしている場面で使えます。
- 頭を抱える / プロンプト “hands on head”: 頭を両手で抱えるような動作。悩んでいる様子を示すのに良いです。
- 口元に人差し指を当てる / プロンプト “index finger extended in a ‘shh’ gesture”: 人差し指を口元に当てて、「シー」のポーズをする動作で、内緒話のシーンで使えます。
同様に、実際のイラスト生成事例についても紹介していきます。
手で物を持つ
下記画像は本を手で持っている状態で、プロンプトとしてHold a bookとしたものです。
手で何かを指す
プロンプトとしてpointing at somethingを用いて、行き先や何かを手で示すような画像となっています。
手を後ろにつく
with her hands placed behind her on the benchを用いています。完全な後ろというよりは、若干サイド気味に手を置くことが多いかと思います。
手で頭をかく
scratch her headとして生成した画像です。頭を描くような仕草というよりは、この例のように髪の毛を手で触るような仕草に見えることが多いかなと思います。
頭を抱える
with both hands on her headとして生成した画像です。こちらは両手で頭を抱えるような画像になっています。
口元に人差し指を当てる
プロンプトはher index finger extended in a ‘shh’ gestureとしたものを用いています。プロンプトに基づいた通りに生成されています。
手袋に関するプロンプト
手に関する事例のおまけとして、手袋についてもプロンプト例を挙げていきます。キャラクターの個性やシーンを強調するアイテムとしては有用かと思われます。
- 手袋 / プロンプト “Gloves”: 手袋の種類によっては、季節感や洗練された印象を持たせることができます。
フォーマルな手袋
下記画像は、wearing elegant glovesとして生成したものです。パーティーなどフォーマルなシーンがイメージできます。
冬用の手袋
こちらはプロンプトとしてwearing cozy winter glovesとしたもの。冬の屋外というシチュエーションを強調するには良いかと思います。
手のポーズに関するまとめ
本記事では、AIイラストにおける手のポーズや動作に関するプロンプトについて解説してきました。手の動きだけも場面や感情を表現することが出来る点が伝わったなら幸いです。
一方で、ポーズによっては再現するのが難しいものもあって、特に右手と左手でポーズを変える場合は難しいように感じます。
ただ、このような手の動作やポーズを効果的に示すことで、キャラクターの感情や状況をより深く表現することが出来るため、今回紹介した事例が役に立つようですとうれしいです。
なお、ポーズ全体に関するプロンプトについては下記記事にまとめていますので、こちらもよろしければご覧ください。
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