AI技術の進化で、誰でも簡単にイラストを生成できるようになりました。一方で、多くのAI生成イラストは、どこか「AIっぽさ」が抜けきらないことが多くあります。本記事では、AIイラストっぽさをなくして、ぱっと見でAIっぽくない、手書き風のイラストを生成する方法を紹介します。特に、ChatGPTを活用してその目標を達成する方法について詳しく説明します。
ChatGPTでの画像生成については下記記事にて、使い方などをガイドとしてまとめていますので、良かったらどうぞ!
AIイラストっぽさが生まれる理由
AIイラストを見ていると、人間が作成した画像とは違うって、なぜかわかりますよね。見た感じの印象が違うと感じられます。このような、AIイラストっぽさはそもそもどこから来るのでしょうか?
下記は以前にChatGPTにて生成した画像になりますが、これを参考画像としながら、言語化していきましょう。
AIイラストっぽさの特徴
生成された画像がAIイラストっぽくなる要因としては、下記3点が大きいものと考えられます。
- 顔の特徴
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一番特徴的なのが顔になります。特に「マスターピース顔」と呼ばれる、非常に整った、均一な特徴の顔立ちが多く見られます。要因としては、AIが学習データの中で最も平均的で「美しい」とされる特徴を抽出する傾向があるためだと思われます。
- 質感と塗り
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生成AIを用いた場合、特定の色使いやグラデーションのパターンが繰り返されたりすることが多くあります。また、塗り方も均一性も高くなっていて、こういった要因が人工的な印象に繋がっているように思います。
- 線の均一さ
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手書きの自然な線の強弱や不規則性を再現するのが難しいため、均一な線が多くなりがちです。
他にも、指先や瞳の描写など詳細な部分において、AI特有の部分もありますが、ぱっと見の印象に大きく影響を与えているのは上記要因かなと思われます。
また、これらが生じる要因としては、AIが大量の画像データを基にしているため、平均化・均質化した画像となりやすいためだと考えられます。一方で手描きの場合には、微妙な不均一さや個性があるために、見る側にとっては自然で親しみやすく感じられるのだと思います。
AIイラストっぽくない画像を生成するための基本テクニック
それでは、AIイラストっぽくないAIイラスト化する方法について説明してきます。基本的には、AIイラストっぽい特徴を如何にして出さないかという戦略をとることになります。具体的には下記になります。
- 塗り方・質感の違和感を減らす
- 線の質感を不均一化する
- スタイルを意図的に変える
- ポージングや表情に変化をつける
以下で、ChatGPT (DALL-E 3)を用いたときの、具体的な生成事例やプロンプトを示しながら説明していきます。
①塗り方・質感の違和感を減らす
まず全体的な印象を変えるために、塗り方を変更するのが基本にきます。よくあるようなアニメ塗りを避けるのが良く、モノクロ化したり、パステルカラーでの彩色などをとるのが良いです。
モノクロとした具体例
モノクロで、スケッチ風とすることで、塗り方による違和感を減らします。具体的なプロンプトとしては「monochrome, sketch-style illustration」を用いた画像を示します。
パステルカラーとした具体例
彩色としてパステルカラーを選択しておくと、AIっぽさは薄れます。ここでは、プロンプトとして「pastel-colored anime illustration」を用いて生成した画像を示します。
このように、彩色を変更するだけでも、かなりAIっぽさは抜けてくれます。
②線の質感を不均一化する
続いて、画一的な線ではなく、不均一な線とすることで個性を出していきます。具体的には、プロンプト「The lines are unstable in thickness」を用いています。
このように線に不均一性があると、手描きっぽい印象が高まります。
③スタイルを意図的に変える
また、「マスターピース顔」を外すため、スタイルも変えていきます。「マスターピース顔」は、最近のアニメやイラストの印象を強く受けていると思われるので、ここから少しずらします。
ずらし方は色々と選択の仕方がありますが、ここでは「2010年代のアニメと少女漫画をミックスしたスタイル」としてプロンプト「styled to mix 2010s anime and shoujo manga influences」の画像を示します。
このようにすることで、多少顔の印象を変えられることが分かります。ここはどこまでずらしたいかという意図次第なので、もっと異なるスタイルや画風を適用すれば、変更可能です。
キャラクターのスタイルについては、下記記事でも扱っていますので、参考までにどうぞ。
④ポージングや表情に変化をつける
AIイラストっぽさは、平均的な表情やポーズであることによって出ている部分があるので、ここに個性を持たせます。合わせて顔に不均一性を持たせることで、AIっぽさを減らします。
以下は、具体的なプロンプトとして、困惑した表情「with a perplexed expression」、不均一な顔のバランス「The face proportions are intentionally unbalanced and uneven」とした画像です。
表情やポーズ、左右のアンバランスさが加わることによって、個性を伴ったような作風に感じるかと思います。
表情については下記記事で詳しく解説していますので、こちらもどうぞ。
応用編:組み合わせた事例
上記の方向性を組み合わせて生成した具体例を、3つほど下記に示します。
このようにプロンプトを工夫することによって、ぱっと見ではAIイラストっぽくないようなAIイラストを生成することが可能です。恐らく、ある程度分かっている人が見ないとAIイラストだと見分けがつきにくいのではないでしょうか。
一方で、これらはあくまで「ぱっと見」の印象を変えているのに過ぎないので、細かい部分を見ていくとAIっぽさがありますので、ディティールの完成度をどこまで上げられるかが現状の画像生成AIの課題かと考えられます。
また生成したままの絵をほぼいじっていませんので、ここから後処理で編集を掛けていけば、よりAIイラストっぽさを消すこともできるかと思います。
まとめ
この記事では、AIイラストっぽさを排除し、手書き風のリアルなイラストを生成する方法を紹介しました。このように適切なプロンプトを用いていけば、ある程度の手描きっぽさを出すことが出来ます。こういった手法がイラスト生成時の参考になれば幸いです。
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